掲示板で解説されました内容を抜粋して保存するページです

SAECの特徴(技術顧問解説)
@上下からナイフエッジで挟み込み、垂直方向のガタのなさ。
これはベアリングを使用したものと、決定的に違います。
ベアリングは、その構造上、垂直方向に使用した場合、
必ずガタが出るため、低音の解像度に差が出ます。
FRのステンレスなどは重さでそこら辺を押さえ込むことになると思いますが、全体に重くなり使用できるカートリッジも限られます。
ミドルクラスのカートりっじっで、1.5〜2g針圧時、特にクラシックのフルオケなどの時の解像度が違ってきます。
ワンポイントや、SMEの30○×シリーズは、オイルダンプを併用し、持ち上がらない工夫をしなければならない訳です。
FRやSeriesVは同時にダイナミック型で、バネで押さえ込み、低域の暴れから逃げたとも言えるでしょう。
また、SME30○×シリーズはオイルダンプはオプションでしたが、少なくともRシリーズは、僕は必須だと感じました。
Aナイフエッジの精度、SMEなど他社のナイフエッジをご覧になると、
そのあまりの「なまくら刀」に驚いてしまうくらい、差があります。
OH時ナイフエッジは本当に砥石で研がれ、下手をすると手を切るそうです。
水平方向は、各パーツの重さで押さえることになり、そのベアリングはOH時生産していた頃のものより、
さらに精度のいいものに交換され、ナイフエッジの研ぎ直しと相まって、高域特性も伸びたそうです。
BSAECのアームは交点がXYZ軸上の一点で交わっていて、完全なラテラルを取ることが可能です。
このため外乱に強い、少々のショックや、風圧で針が飛ばない再生を可能にしています。
これに関しては(グレースなど)ジンバルや、SMEのSeriesVの方式も同様です。
ワンポイントは構造が単純なので、経年変化には強いのですが、ここにウィークポイントがあります。
ワンポイント式は、感度だけはSAEC並なので(しかも水平もいい)、
レコードがフラットなら、かなりいい特性が出ます。
低域で浮くことを押さえるため、ダンプしなくてはならないことと、ヤジロベーのため、レコードの反りで浮いたとき、針圧が重くなり
針のダンパーの負担が大きくなることに問題があるわけです。
C各部材の吟味。
これはそれぞれのメーカー言い分はあるのですが、407の支点ブロックをバラしたとき裏側を覗いた衝撃は鮮烈でした。
ミーリングで作ってあるんだよねなんて言葉でいくら言っても分からないくらい、剛性感と精密感が両立していて、思わず感動してしまいました。
また、407と506のアームは当時三井金属に世界中から探させ、やっとコンコルドの羽の部材を分けてもらったそうです。
D設計者のTさんは、本業が精密機械加工はもちろん、電気屋さんでもあるんです。
だから、AEの時代のものだと、ケーブル(やトランス、MMイコライザ)が貴重だったりします(^^
他社の製品とは比べられません。
ESAECに弱点はないかというと、その性能の良さの裏腹に、取り扱いのシビアさがあげられると思います。
ナイフエッジ命なので、(通常使用している以上の)強い力に弱い。
標準で付いてくるウェイトの適応範囲が狭い。
宣伝が下手くそだったため、あまり売れていない関係で、中古の入手難易度が高い。
あちこちの部材の角が尖っているので手を切る(^^;
そして、ゼロバランスを取るときに、(ロック機構がないので)
IFCの錘を良くエッジカバーの上に忘れたまま、レコードを掛けてしまう。

感度に関して(技術顧問解説)
まず垂直に感度に関して、ワンポイント>>線接点>複数点接点(ベアリング+グリス)になると思います。
特にワンポイントのアームは、水平感度も同様に高い上、経年変化に強いのがなんと言っても魅力です。
ところが、ヤジロベエにしないと、バランスが取れないため、Z軸の支点が高い分、
カートリッジ側から見た支点が明瞭でなくなります。
針の上に乗っているため、低域の共振に耐えられず、アーム支点が浮き上がる(これについては他のアームも同様)
のを押さえるため、オイルダンプなど、出来れば使用したくないアームの動きを抑制する手段が必要になります。
使用した限りで言うと、針圧1g程度前後のハイコンプライアンスで軽量のカートリッジであれば、
3009II/imp、3009III、STAXのワンポイントは、かなりの音質を提供します。
ベアリングにガタがあると申しましたが、使用しているうちにガタが出ることではなく、
ベアリングは内周と外周の接触速度の差分を解消するため、僅かな隙間が必要になります。
そして、今度は使用してるうちの話になり、垂直方向に使用したとき、動く角度があまりに僅かなため、
球の動く軌跡が掘られやすいのはお分かりになると思います。
水平方向に使用すると、全部の球が接触し、レコード内周までの角度が使用できるため、
隣同士の球の軌跡がダブり減りに関しては具合がいいわけです。
とは言っても、例外も存在し、重量級では、オルトフォン、FR(基本的にs)のアームはかなり有効で、
SPUなどで当たりのものを持っていれば、やはり50〜60年代のレコードを良く聴くときには、拘るのは分かります。
これはやはりダイナミック型の良さも相まっているのだと思います。
アームは感度と質量のマジックボックスで、変則的なベターハーフが生まれやすいことも経験しました。
先日軽量ワンポイント、ヤジロベエの典型、デンマークのメルクに光悦を載せたら、目から鱗の音が出ました。

SMEシリーズX(RUBYさん解説)
@垂直軸受けをナイフエッジをやめて密閉型ボールベアリングの採用。
ASMEがオリジナルであるスタティックバランスをやめてダイナミックバランスを採用。
Bアーム本体に軽量高剛性のマグネシウムを採用(45g)。しかもシェルからバランスウエイト取り付け部まで一体成型。
C針先と垂直回転軸が同一平面上にある。普通は回転軸の方がかなり上にある不安定な形状をしています。
これは針先にレコード進行方向の力が働いても針圧が変化しないという重要な特徴です。
D垂直支点より重心位置が低い。これはバランスウエイトにタングステンを採用することによって解決しています。
比重が19.3のタングステンですと必要なウエイトを得るのに体積は小さくてすみ、
結果的にウエイトをアームパイプの下部に集中させることが可能になりました。
これは本体が軽量なマグネシウムのため、もとからウエイトも軽量で済むということもあります。
E合理的な設計で非常に調整がラク。すべてが考え抜かれて作られており調整に曖昧なところがまったくありません。
カートの交換はちょっと面倒ですがあとの調整がラクラクなのでかえって簡単なほどです。

VRの合わせ方(オスカルさん解説)
普通主役になるヴォーカルや楽器の音量感でヴォリュームを決めるわけですが
そのことは、カメラで言えば、主な被写体にフォーカスをあわせるような作業です。
次に装置と再生空間のリニアリティを良く知る・・
ということが肝要です。一番リニアリティのよいところにソフトのダイナミック・レンジをはめこむわけです。
映像でいえば、フレーミングですね。画面が歪むことなく必要なフレームで現実を切り取るといったことかな。
さらにソフトに含まれるエコー成分が上手く再生する部屋の響きに馴染む音量を見つけるということだと思います。
これは、絞りとシャッター・スピードを調整して遠近感やコントラストを工夫するような作業にあたるかと思います。
またそうした残響成分というのは、ヴォーカルや楽器の直接音に比べて微細なレベルの信号ですので
それらが先ずちゃんとでていないと・・ということも大事です。

MICROなどの糸ドライブ
糸はケブラー糸ですので、東急ハンズや釣具店で購入する事ができます
価格は一巻\1,100程度で100m以上あります。
太すぎると結び目で「ごつごつ」鳴る事が有りますので2本以下で束になっている
物を購入した方がよろしいようです。
#5で100mの物では太いようですので、これ以下をお薦めします。
間違って買った場合はほぐして本数を減らし利用しましょう!
結び方は↓

戻る